第157章 私のオフィスを君に

風が車窓をかすめる。水野佑奈はまた、竹内光太郎が口にした「有川夫人」の話を思い出し、胸の底が重く沈んだ。

彼女が意図的に有川紘樹と佐伯薫をくっつけようとしていた――その裏を知っても、佑奈の顔に驚きは一片もない。残ったのは、凪いだような冷淡さだけ。

最初から、そうなるとわかっていた。

有川夫人は昔から佐伯薫を贔屓し、長年にわたって肩入れし甘やかしてきた。学歴も取り柄も「並」だと見なされている自分など、心の底から気に入らないのだろう。

まだ自分が有川家の正真正銘の若奥様だった頃でさえ、有川夫人はことあるごとに難癖をつけ、皆の前で佐伯薫ばかりを持ち上げた。

そして今。佑奈と有川紘樹は完全...

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